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hollow,
〝「こんばんは、お嬢さん」"
夜霧の流れる街、凍える月の照らした裏通りは暗中迷路。
角辺りに佇む青年が一人、紳士のようだった。
彼の言うことには
「気をつけて、夜の街の一人歩きはいけない。
おそろしい殺人鬼が出るそうだから。
―――ねえお嬢さん、今宵はお一人かな?
それは危ない!よろしければ僕とご一緒に。
帰路を歩みましょう。
一夜限りの出会いだから、お手をどうぞ」
煙霧が立ち籠む街、迷える月の照らした道通りは五里霧中。
手を引く青年は傍を微笑み歩いていた。
ふと、立ち止まった彼の言うことには
「そういえばこんな夜は、血が騒ぐそうだから……、
おそろしい殺人鬼が近づくかもしれない。
―――ああそうだ、お嬢さん気をつけて。
殺人鬼が好むのは淡い金の髪、碧い瞳。
そう……貴女のような」
〝薄光差し込む街、時計台の鐘音は遠く遠く。"
「ああ、月がこんなに綺麗だから。まるで剣先のようだ」
そっと繋いだ手を下ろし、囁く―――。
「どうかお嬢さん、お許しください。
先ほどの約束ですが、どうにも守れない……」
切り裂く月明かり、
「それでは、さようなら」
〝―――舞台『hollow,hollow,from hell.』序幕より"
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