<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?>
<rss version="2.0" xmlns:blogChannel="http://backend.userland.com/blogChannelModule" >
  <channel>
  <title>cosmic library</title>
  <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/</link>
  <atom10:link xmlns:atom10="http://www.w3.org/2005/Atom" rel="self" type="application/rss+xml" href="http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/RSS/" />
  <description>宇宙図書館</description>
  <lastBuildDate>Tue, 11 Nov 2014 13:09:02 GMT</lastBuildDate>
  <language>ja</language>
  <copyright>© Ninja Tools Inc.</copyright>
  <atom10:link xmlns:atom10="http://www.w3.org/2005/Atom" rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com/" />

    <item>
    <title>カサイノニシビ - からかさ幽霊＋小説家（＋？）</title>
    <description>
    <![CDATA[さあ、脅かしてやろう。ちょっとした好奇心で暇は殺せる。<br />
散歩がてら、と目についた家屋へと上がり込む。<br />
何処へとも無い散歩だ。何も考えずに歩いてきたせいで、四辻からの道順も頭に残っていない。<br />
大胆にも軒先へと進んだ足だったが、衣笠ははた、と歩みを止めた。<br />
<br />
<br />
<center>カサイノニシビ</center><br />
<br />
<br />
<br />
「あっ、わっ、が、くせいさん！あのですね！私はですね、決して怪しいものでは！なくて！ですね！！」<br />
<br />
紙やら本やらが所狭しとひしめきあう部屋で男がぼんやりしていたのだった。<br />
彼はふーと溜息を吐くとこちらを一瞥し、&hellip;&hellip;これである。<br />
「わ、すみません。僕もちょっと通りかかっただけで&hellip;」<br />
嘘をつけ、明らかに目的を持っての侵入だったくせに。ヨコシマな。<br />
相手が慌てているのを良い事にして、そそくさと去ろうとした。<br />
<br />
「私が見えるんですか？！」<br />
<br />
そちらこそ、と喉から出かけた尾っぽを掴めて良かった。<br />
何かはわからないが、&rdquo;そういう人&rdquo;なのだろう。驚いたのはこっちの方だ。<br />
「ええと&hellip;&hellip;」<br />
「今いる私は、映像なんですよ。残像のような&hellip;&hellip;それをゴーストって言うんですけど。月との交信と、同じ要領でやっていたんです」<br />
「月、ですか」<br />
なんだか遠い話だな、と衣笠は思った。<br />
ずっとずっと遠い先の話だった。ロケットが飛んだとか、月に着陸しただとか、宇宙人がいるだとか。<br />
エスエフエックスの世界。科学的。自分とは程遠い。<br />
「はい、見えますね。ボクからすればあなたは普通の人間みたいだ」<br />
「人間ですよ。&hellip;&hellip;なんて、信じ難いかもしれないですけど」<br />
<br />
それから少し、その奇妙な存在と取り留めの無い話をした。<br />
天気の話から始まって、紙に変わる電子の本があるだとか、人工知能がどうだとか、この家には小説家が住んでいるだとか。<br />
「こういう話に興味があったらまた来なさい」<br />
と言われたが、曖昧に笑って流してしまった。<br />
<br />
もう少し素直になれたらな。<br />
と。受け入れがたい現実を、かぶりを振って打ち消すんだ。<br />
真っ赤な西日は地獄を連想する。河川敷を歩くと、賽の歌が聞こえてくるようだ。<br />
<br />
二つや、三つや、四つ五つ&hellip;&hellip;&hellip;<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
一方、路川榮太郎は公園で紙芝居を眺めていた。<br />
<br />
＊＊＊<br />
<br />
了<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div align="right">＊　＊　＊<br />
<br />
＊　＊　＊<br />
<br />
<br />
<br />
<a href="http://d2soko.karakasa.com/" target="_blank">からかさ幽霊</a>と<a href="http://albireo.watson.jp/" target="_blank">小説家</a>、そしてこれを見ているあなた。<br />
月を見ている、あなた。</div>]]>
    </description>
    <category>text-fanfic</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/text-fanfic/%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%83%93%20-%20%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%95%E5%B9%BD%E9%9C%8A%EF%BC%8B%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E5%AE%B6%EF%BC%88%EF%BC%8B%EF%BC%9F%EF%BC%89</link>
    <pubDate>Tue, 11 Nov 2014 13:09:02 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/15</guid>
  </item>
    <item>
    <title>トロンプ・ルイユの肖像 / 竜胆の揺り籠</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
<center><b>トロンプ・ルイユの肖像</b></center><br />
<br />
＊＊＊<br />
<br />
参ったな、とグレイスは思っていた。予定の無かった筈のディナーを潰されて、大勢の相手をしなければならなくなったからだ。<br />
恋人が行くべきだ、と言うので仕方がない。<br />
渋る理由を兄は知っているが、なんでも目出度い席とやらで。であれば自分が欠席をするのは兄の名誉に傷がつくだろう。<br />
<br />
「そうは言っても、僕が行く理由がない」<br />
「ご婦人方も私のようなくたびれたおっさんより、若いお前の方が嬉しいだろう？」<br />
「兄さんは十分魅力的だと思うけれど」<br />
「それは冗談としてだな。伯爵家の大事な席だ。挨拶しなさい」<br />
<br />
＊<br />
<br />
「&hellip;&hellip;と、思っていたのですが。ええ&hellip;夜会には久しぶりの出席になってしまい、申し訳ありません。<br />
　私のような者にもお声がけを頂き光栄です」<br />
<br />
大勢の貴族に挨拶を繰り返し、うんざりしていた所にようやく主役が登場してくれた。<br />
口をつけただけのグラスをテーブルに戻し、深く礼をした。<br />
<br />
半ば引きづられて来た夜会は、久しぶりに見ても煩く見えた。<br />
綺羅びやかなシャンデリアに、派手すぎるカーテン（と、彼の感性では感じられた）、食べきれない量を重ね重ねした料理などは見るに耐えなかった。帰りたい、と思った。<br />
彼は人と話をするのが苦手だった。端的に言うと面倒なのだった。<br />
<br />
「構わないさ。今宵は出席頂き感謝する。&hellip;&hellip;確かに、君とは初めて顔を合わせるな」<br />
<br />
これが伯爵家の跡取りとやらか、と目線をやや下に配らせる。<br />
静電気が刺すような髪色だ。<br />
反して、長い睫毛から覗くヴァイオレットは地を低く伝うような色。背はこちらよりやや低い。首が細く、指もまた華奢だ。女顔。<br />
<br />
「私の顔になにか？」<br />
<br />
ボーイソプラノの奏でる声には聞き覚えがある。<br />
雑踏と焼けた小麦の匂いと共に脳裏に蘇る。別の手もあったろうに。酔狂な男だ。<br />
点が線で繋がる快感に、意識せずに口角が上がったのは何時ぶりか。<br />
<br />
「失敬。整った顔つきだと思いまして、つい見とれてしまいました。<br />
　&hellip;&hellip;お手を取らせて頂いても？」<br />
「はは、遠慮するよ。世辞が上手い男だ」<br />
「私は本心からの言葉しか言いませんよ」<br />
「嬉しいね。ああ、君が女性ならもっと嬉しかったかもしれないのに。実に惜しい」<br />
<br />
心にも無いだろう言葉が掠める指先が冷たい。握り潰した手袋さえも。<br />
今日は冷えますね、と月を見上げると若き伯爵が白息を吐き出した。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;近々、婚約披露の場を設けようと考えているんだ」<br />
「ああ、&hellip;&hellip;話には聞いておりました。<br />
　お可哀想に、リンドバーグ卿の側にいれば、きっと彼女の心の氷も溶けるでしょう」<br />
<br />
彼女の幸福を祈っていますよ、といつものように笑顔で告げる。<br />
ああ、顔が思い出せないな。<br />
だまし絵のようにポッカリと穴が開いている。<br />
<br />
<br />
<br />

<div align="right">＊　＊　＊<br />
＊　＊　＊<br />
<br />
<a href="http://lilyreverd.web.fc2.com/" target="_blank">竜胆の揺り籠</a>とhaze,haze,acid flow.との関連性についての文章。<br />
詳しくはイベント２を見るんだ！</div>]]>
    </description>
    <category>text-fanfic</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/text-fanfic/%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%A6%E3%81%AE%E8%82%96%E5%83%8F%20-%20%E7%AB%9C%E8%83%86%E3%81%AE%E6%8F%BA%E3%82%8A%E7%B1%A0</link>
    <pubDate>Fri, 07 Nov 2014 12:55:09 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/14</guid>
  </item>
    <item>
    <title>不確定要素ＸＸＸ / LC－Familiar</title>
    <description>
    <![CDATA[（※途中で終わっているSSです）<br />
<br />
<br />
<br />
「ライラクラム様、今日のデザートは極上のチョコレートをご用意いたしました！」<br />
「うむ」<br />
「ライラクラム様、本日も麗しゅうございます。<br />
　こちら、年代物のワインです。是非お召し上がりになってください！」<br />
「うむ」<br />
<br />
「ライラクラム様、何か欲しいものはございますか？」<br />
「今は特に何も」<br />
「そうですか。ではライラクラム様、ご飯にする？お風呂にする？それとも&hellip;&hellip;」<br />
<br />
<br />
<center>不確定要素ＸＸＸ</center><br />
<br />
<br />
かくも、人間とはこんなに扱い難いものだったか。<br />
<br />
<br />
<br />
肌寒い感覚を覚える１２月。<br />
街頭は金色銀花煌びやかな電飾で飾られ、彩りが眩しい。<br />
――こんなもので塗りたくっても影は消えやしないのに。<br />
<br />
特に挨拶もせずに家へ戻ると、迎え出る人影が一つ。<br />
<br />
「ご主人様、おかえりなさいませ」<br />
「&hellip;&hellip;ご主人様はやめろと言っているだろう」<br />
<br />
暗闇から燭台を持って現れた「それ」は、慣れたように頭を垂れた。<br />
<br />
&hellip;&hellip;ほんの気紛れで選んでしまった幸い、というのだろうか。<br />
死にぞこないを見つけた出来心。<br />
ヒトを守るのはやはりヒトで無ければ面白味が無い。<br />
長い人生、ヒトと呼ぶにはかけ離れすぎているが。<br />
<br />
「街は賛美歌で溢れていて、お疲れでしょう」<br />
<br />
わたしはヒトですから、と付け加えながらそれは顔を上げ、満面の笑みを浮かべた。<br />
<br />
「では、ライラクラム様」<br />
「うむ」<br />
<br />
くるり、と一回転し、愛嬌のある笑顔をもう一度。<br />
今度は満開に開き零れそうなほどに。<br />
<br />
「と、いうことで！本日はお祭でございます！」<br />
<br />
はて、と記憶にない。<br />
こいつはよく突拍子も無いことでお祝いをしたがるから、妙なものだ。<br />
脱人間記念日一ヶ月だとか、二人の出会いの記念日二ヶ月だとか、よく思いつくものだと感心する。<br />
日本人は祝い事好きだというが、正にそれを体現したかのようだ。<br />
<br />
「おまえの誕生日か？」<br />
「ライラクラム様、私はとても嬉しいのです！<br />
　あの日あの時お声をかけて頂いた時の煌びやかな瞳、凛とした声、月光を掬い取ったような牙！<br />
　どれをとってももう運命だと！そう考えているのです！ああ、ああ！<br />
　一生お傍におります、仕えさせてください、それが私の喜びなのです！」<br />
「話を聞け」<br />
<br />
ヴァンパイアは狐を飼うのだとは前に言った覚えがあるが、これではまるで犬ではないか。と呆れてしまう。<br />
これが自分の眷属か。なんとも情けない。<br />
―――そうとも、これは拾ったときからこうだ。<br />
別に魅了だとか洗脳だとか、そういった事はしていないハズ。だというのに。<br />
見ようによっては可愛いものだが、これでは張り合いも何もあったものではない。<br />
<br />
「おいしいシャンパンをご用意しております、あっ、これは私用ですね。<br />
　ライラクラム様にはワインと、ウイスキーもありますが飲みますか？<br />
　果物&hellip;チェリーやストリベリーもございます、いかがなさいますか？」<br />
<br />
ずいずいと目を輝かせながら身を寄せてくるも、ものすごい気迫である。<br />
しかし、ただ。しかしだ。<br />
<br />
「つまらないな」<br />
<br />
「はい？」<br />
「時に、おまえ。自分の身分を忘れたわけではあるまいな。<br />
　して？世はどこぞの宗教のメシアの生誕祭だとか。それか？<br />
　普通は家族や友人、はては恋人とパーティをするのではないか？」<br />
「ですから、このように準備をしてお待ちしておりました！」<br />
<br />
どっかりと椅子に腰掛けながら見やると、テーブルには豪華な食事や飾りが備えられていた。<br />
これまた、いつもだって大層なご馳走なのに、それを更に三重に、四重にも丁寧にしたような度合いだ。<br />
<br />
「いや、そうではない。食事は不要だ。<br />
　それに、おまえには友人というものはいないのか？」<br />
「それはもう済ませてきました。今はもうこんな時間ですよ」<br />
<br />
シー、と指を二本、唇に添える。<br />
ちょうど鐘の音が鳴り響く時だった。<br />
<br />
「お父様とお母様は、もう寝てしまいました」<br />
「普通の人間は寝る時間だ」<br />
「私はですね、ふふ。なぜでしょう。逆に元気になってくる時間帯です」<br />
<br />
<br />
<div align="right">＊　＊　＊<br />
＊　＊　＊<br />
<br />
ユーザちゃんと<a href="http://sosiremi.appspot.com/ghost/lilacram/" target="_blank">ライラクラム様</a>のクリスマス。<br />
百合っ子というかライラクラム様にやたら懐いていたらかわいいなと思って<br />
途中まで書いたのを発掘したのでおいておきます。</div>]]>
    </description>
    <category>text-fanfic</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/text-fanfic/%E4%B8%8D%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E8%A6%81%E7%B4%A0%EF%BC%B8%EF%BC%B8%EF%BC%B8%20-%20lc%EF%BC%8Dfamiliar</link>
    <pubDate>Mon, 30 Dec 2013 14:04:19 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/13</guid>
  </item>
    <item>
    <title>yuzukiさん - sweet jamming</title>
    <description>
    <![CDATA[<script type="text/javascript" charset="utf-8" src="http://www.webpita.com/blogparts/music/music002/webpita_blogparts_music002.js"></script><script type="text/javascript">webpita_blogparts_music002("http://lirlira.hacca.jp/sweet_jamming.mp3", "default")</script><noscript><a href="http://www.webpita.com/">ブログパーツ</a></noscript>.<br />
<a href="http://rakudaya.sakura.tv/mr/" target="_blank">&rArr;mp3はリンク先からどうぞ。</a><br />
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－<br />
２年前のあの伝説のゲーム、皆さんはもうプレイされましたか？<br />
スタイリッシュなBGMに加え色んな世界のゴーストが集う、SSP（shima-shima-pantsu）の導きによって&hellip;。<br />
うちのゴーストからもレイヴァーンが参戦しまして、飛行性能・コンボが強力、のけぞりタイムが少ないという中々な厨キャラになっております。<br />
黒レース紐パン派閥に属していると声高々に言うからにはやはりという感じですね。<br />
わたしはリエールさんに非常に苦戦しました。格ゲーが苦手なもので&hellip;下ガードは上手く使わないといけませんね&hellip;。<br />
<br />
さて詳細は下ページから<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<b>嘘です。</b><br />
こちらは２０１１年のエイプリルフールに<a href="http://rakudaya.sakura.tv/htc.html" target="_blank">yuzukiさんのサイト</a>で公開された曲です。<br />
どうして２年も経ってからなのかというと、四月馬鹿が終わった後で展示場が無かったとか、言い出せなかったとか&hellip;&hellip;そういう&hellip;わけでした。<br />
<br />
キャラクターにイメージ曲を作っていただけるなんて初めての経験でものすごい嬉しかったです。<br />
音楽はずーっと聞きながらお絵かきができるのも大きいですね。<br />
静かながらアダルティー。まさに夜がぴったりな素敵な曲です。皆さんも是非聞いてください。]]>
    </description>
    <category>頂き物</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/%E9%A0%82%E3%81%8D%E7%89%A9/sweet%20jamming</link>
    <pubDate>Fri, 27 Sep 2013 09:55:27 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/12</guid>
  </item>
    <item>
    <title>深上さん - 煙草とチョコレート</title>
    <description>
    <![CDATA[<center><b>煙草とチョコレート</b></center><br />
<br />
<br />
　訪れた喫煙室には先客がいた。<br />
　喫煙室といっても、廊下の隅。通路側を仕切りで区切られただけのお粗末なものである。<br />
　中にあるものも小さな机とパイプ椅子がいくつか。<br />
　それぞれの研究室に禁煙の縛りがない所内では、あまり使われない場所だった。<br />
　普段は数人の軍人たちで埋まっているのだが、今日は都合良く一人。<br />
　それも、見覚えのある人間だった。<br />
　ここではあまり見ない黒髪。<br />
　椅子に座る気はないらしく、壁にもたれて煙をふかしている。<br />
　深海景。<br />
「珍しいね。君がこんなところで休んでるなんてさ」<br />
　気配を感じなかったわけではないだろうに、その声で初めて気付いたというように男は顔を上げる。<br />
「&hellip;&hellip;君こそ珍しいだろう。エインズ。こんなところへ何しに来たんだ」<br />
「ここは喫煙所だよ。することなんてひとつだと思うけどね」<br />
　白衣のポケットから白い棒状のものを取り出して、パイプ椅子に座る。<br />
　どかり、どさっという女性らしからぬ座り方に深海は眉を潜めたように見えたが、それは別の要素のほうだったらしい。<br />
「君は煙草を吸うようには見えなかったが」<br />
「煙草じゃないよ。シガレットチョコ」<br />
　紙をめくってやる。<br />
　中から現れたのは茶色の、良く見るお菓子だった。<br />
　ぱくりとくわえる。<br />
　舌で舐めれば、ほどよい甘さが口の中に広がった。<br />
「なおさら此処に来る意味が分からない」<br />
「深海、君は何のために此処に来るのさ。煙草なんて二の次だと思うけど」<br />
　そこまで言って、男はこちらの理由を悟ったらしい。<br />
　ああ、と呟いて、元の壁に背を預ける。<br />
　いつ他の人間が入ってくるか分からない場所での喫煙など、一服の意味にはならない。<br />
　落ち着いて味わえる場所なら、彼らは既に持っているのだから。<br />
　そこを抜け出してまでこんな場所に来る理由など限られていた。<br />
　すなわち、気晴らし。<br />
「&hellip;&hellip;自分の部屋だって言ってもね、煮詰まれば牢獄と一緒だよ。こういう場所の方が、意外と考えがまとまったりするんだよねぇ」<br />
「まあな&hellip;&hellip;。それにしても、君がこんな場所にいても彼女は気にしないのか？」<br />
「ブリジット？　んー&hellip;&hellip;彼女も煙草の匂いは慣れてるし、あまり気にしないと思うけど」<br />
　チョコレートを一口かじって、視線を薄汚れた天井から男のほうへ。<br />
　背の高い男だったが、３分の１ほど椅子から落ちていたので表情が良く見えた。<br />
　普段と変わらない無表情どころか、眼も合わせなかったが。<br />
　見上げた瞳は、氷のような色をしていた。<br />
「&hellip;&hellip;君のとこは、って、そういえばあのカラスも一応吸うんだっけ？」<br />
「そうだな。吸っているところは見たことがないが」<br />
　確か服に匂いが付くとかそんな理由であまり吸わないのだと聞いた気がする。<br />
　まったくありがたくないことに本人情報だから確かだろう。<br />
　それを聞いて、ふと逸れていた瞳がわずかに寄る。<br />
「そういえば、レイヴァーンは良く君の世話になってるらしいな」<br />
「ああ。まあ、良く来るよね。つまらない理由で」<br />
　黒い四枚羽根のキメラ。<br />
　わかりやすいようで掴みにくいお調子者。<br />
　彼女の言うつまらない理由に心当たりがあるのだろう。<br />
　深海は呆れた顔で息を吐いた。<br />
「言い聞かせてはいるんだがな&hellip;&hellip;」<br />
「君が言い聞かせたところで聞くようなヤツだったら楽なんだけどねえ。&hellip;&hellip;でも、以前より減ったほうだよ」<br />
　個人的に不快かどうかは別として、と付け加えてから思う。<br />
　そう、確かに減った。<br />
　深海景に出会う前のあの男は、もっとくだらない理由で医務室に訪れていたから手を煩わされることも多かったのだけれど。<br />
　その頃に比べれば、今は本当に&hellip;&hellip;。<br />
　椅子を軋ませて、男の視線を捕まえる。<br />
「&hellip;&hellip;あたしより、君の方が迷惑かかってるんじゃないのかな？」<br />
　なんでもないことのように言って、目を離さない。<br />
「君、上層部に睨まれてるって噂を聞くけれど。それって君のせいなのかな。あのカラスのせいなのかな」<br />
　戯れに訪れる軍人や研究員たちの噂話を聞き流しているわけではないし、ただ相方に自分の目を預けているわけでもない。<br />
　何より軍医という立場上、相手にしているのは下位の軍人たちばかりではなかった。<br />
　過去における実験体の隠匿に研究結果の改竄。<br />
　風の噂とはいえ、上の人間が眼を付けるには十分な言葉が流れている。<br />
　しかし、男にとってはそう意外性のある言葉ではなかったのか、深海は息を吐くようにして笑った。<br />
「さあ、自分ではおとなしくしているつもりなんだがな。どういう噂かも想像がつかないが、悪い噂だというなら大抵はあいつのせいだろう」<br />
　軽い言葉。<br />
　だからこそ、ああそう、と笑みを返した。<br />
　&hellip;&hellip;この瞳を、氷のようだと思ったのは間違いのようだ。<br />
　この青は、蒼い炎の色。紅く派手な炎より、ずっと温度が高い。<br />
　ぱきり、とチョコレートを折れる音を響かせて立ち上がる。<br />
　まだ半分。もう半分。けれど今は、とりあえずそれだけ。<br />
「まあほどほどにね。何かあったら治療ぐらいはしてあげるよ」<br />
　大抵のことは自分で始末してしまうのだろうが、一応伝えるだけ伝えておく。<br />
「&hellip;&hellip;美人女医と噂のエインズワース博士にそう言ってもらえるとは、レイヴァーンに自慢できるな」<br />
「言ってみなよ。たぶん別次元の自慢話が始まるだろうから」<br />
　そうだろうな、と男は笑った。<br />
　そのあと、他愛もない話をして男とは別れた。<br />
　何気なく、呆気ない別れ。<br />
　結局、深海景は彼女の手を借りることなく、事件を起こした後に相方もろとも処理された。<br />
　彼女はそれを、噂ではなく間近で。<br />
　青色の炎が消えるのを見ていた。<br />
　余計な手は出せない。<br />
　そんなことで彼女の日常は揺らがない。<br />
　相方の女も苦しげに顔を伏せたのだけれど。<br />
　彼女に出来ることなど何一つなかったのだった。<br />
　&hellip;&hellip;けれどそれから数日。<br />
　以前と同じようにくわえたシガレットチョコレート。<br />
　喫煙室へは向かわず、未だ銃痕と血の跡の残るその廊下を通りかかって、立ち竦む人影を見つけた。<br />
　思わず足を止める。<br />
　癖の強い黒髪。<br />
　白衣こそ着ていなかったが、見覚えのある後ろ姿。<br />
　そんなはずはないと、よく知っているのに。<br />
　咥えていたチョコレートを離して、思わず声をかけた。<br />
「&hellip;&hellip;、深海？」<br />
　びく、と体を震わせて、青年はこちらを見る。<br />
　驚いた。<br />
　良く似ているどころか、同じだ。<br />
　あの男よりあどけなさは残るけれど、顔の造形や体つきは同じものだった。<br />
　うまく理解できずに目を瞬く。言葉が出てこない。<br />
　迷って、探して、それで、違うと分かっているのに、同じ言葉を繰り返す。<br />
「深海？」<br />
　青年は困った顔で、きょろきょろと周りを見渡した。<br />
　迷子の子どものようだった。<br />
　何も見つけられずに自分のシャツを手繰って彼女を見る。<br />
　なのに、何も言えずにうつむいてしまう。<br />
　同じなのにそぐわない。<br />
　あまりにもそぐわないから、少しだけ足が進んだ。<br />
　近くで見れば見るほど同じなのに、違う誰か。<br />
　じっと見つめて、質問を変えた。<br />
「&hellip;&hellip;深海景じゃないのなら、君は誰？」<br />
　その名前に、青年が僅かに顔を上げる。<br />
　景、微かに耳に届いた言葉。<br />
　頼りなさげに声を揺らして、正面から見つめてくる、透き通るような瞳の色。<br />
　彼女が炎だと喩えたその眼は濡れていたけれど。<br />
　変わらない青色で。<br />
「&hellip;&hellip;明人」<br />
　小さく、それでも意志のこもった声で答えた。<br />
「あき、&hellip;&hellip;？」<br />
「&hellip;&hellip;あきと。俺は、深海、明人&hellip;&hellip;」<br />
　確かめるように呟いて、くるりと青年は身を翻す。<br />
　廊下の向こうへと走っていく後ろ姿。<br />
　それをぼんやりと見送って、明人、と呟いてみる。<br />
　知らない名前。知らない、誰か。<br />
　ふと何か脳裏によぎるものがあったが、彼女は考えるのを止める。<br />
　きっと、それはもう終わってしまったことだ。<br />
　円環へと閉じゆく世界の、終わりのきっかけに過ぎない。<br />
　あの男は、自分の意思を貫いて死んでしまったのだから。<br />
　廊下についた傷跡。<br />
　もう聞こえない足音。<br />
　微かに残る、煙のにおい。<br />
「&hellip;&hellip;さようなら、深海」<br />
　最後に一言だけ呟いて、手の中にあったチョコレートを口に運ぶ。<br />
　ぱきりと響く、これがもう半分。<br />
　短いとは思わなかったが、長いとも思えなかった甘い時間は、そうしてあっさりと消えてしまった。<br />
<div align="right">＊＊＊<br />
＊＊＊<br />
<br />
誕生日に<a href="http://tirisora.soragoto.net/" target="_blank">深上さん</a>に頂いたものです。<br />
ありがとうございます！<br />
ありえた可能性のひとつの欠片は、白だったりそれとも青、あるいは赤。</div>]]>
    </description>
    <category>頂き物</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/%E9%A0%82%E3%81%8D%E7%89%A9/%E6%B7%B1%E4%B8%8A%E3%81%95%E3%82%93%20-%20%E7%85%99%E8%8D%89%E3%81%A8%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88</link>
    <pubDate>Thu, 01 Aug 2013 15:43:21 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/10</guid>
  </item>
    <item>
    <title>狼少女とウェアウルフ / せんせいとわたし</title>
    <description>
    <![CDATA[「先生、私幽霊が見えるんです！」<br />
「新しい遊びですか？あまり嘘をつくのは関心しませんね…」<br />
<br />
<br />
<br />
「そのうち、狼少女になってしまいますよ」<br />
<br />
<br />
<font size="5" face="ＭＳ 明朝" color="#B9B6A6"><center><b>狼少女とウェアウルフ</b></font></center><br />
<br />
<br />
『あの先生の言うことがもっともだと思うわ』<br />
校舎の屋上で空を眺めていると、フェンスの向こう側から顔を出した少女はそう言った。<br />
<br />
「なんで信じてもらえないのかなあ、そんなに嘘っぽく見えるかな」<br />
『嘘っていうより、普通は信じないからね』<br />
青から順に落ちてくるグラデーションには雲一つなく、視界に入るにやけた顔とはまさに正反対な清々しさ。ああ素敵。先生のような清涼感。<br />
目の前の少女に目を戻すと、風も無いのに髪や襟がふわふわと揺れ、透けている。背丈は私とそれほど変わらないはずなのに、彼女の目線はもっともっと上から見下ろすものだった。<br />
ううん、やっぱり。<br />
「本当に幽霊見えてるんだけど…」<br />
『それと、忠告。大人をあんまりからかうもんじゃないわ。冗談や嘘ばっかり言ってると、本当に狼少女になって食べられちゃうわよお？』<br />
「嘘じゃないよ、先生大好きだよ！」<br />
『あんなののどこがいいのやら』<br />
「あああああんなのって言わないでー！」<br />
<br />
目の前にいるのはその、幽霊本人だ。<br />
この間の学校行事で山登りしたときに迷ってしまって、滑り落ちた絶壁の地で途方に暮れていたところを助けてくれた。<br />
本人は助けたつもりなんてないと言い張っているけれど…。<br />
<br />
それからだ。たまにこの娘が姿を見せるようになったのは。<br />
<br />
「でも、ミサキちゃん地縛霊なんじゃなかったっけ？」<br />
地に縛られていて、動けない…とは本人の談だけれど、それならなんでこんなに。<br />
『憑きまとってるわけじゃないわよ』<br />
「顔に出てたかな」<br />
『わかりやすい顔してるもの、あたしじゃなくてもわかるわよ』<br />
「………わかった！私の守護霊になってくれたんでしょ！？」<br />
『はあ！？なるわけないでしょ！あたしまた死にたくない！』<br />
「……う、うん……？」<br />
<br />
なんだか物騒な単語が聞こえた気がする。どういう意味、と言う前に話は横へ横へ。<br />
<br />
『ふん、とにかく……。嘘つきだって、気味悪く思われたくないならあんまり言わないことね』<br />
ただですら人は信じてくれない、他人なんてもっとそう。<br />
狼少女にすらなれなかった娘はそう言った。<br />
<br />
「そう、かな…、でも、信じることって大事だと思うな」<br />
　現状はなかなか信じてもらえないと思うけど、と付け加え。<br />
「もし友達がそう言い出したら、私は信じたいな……って、こういう話じゃなくてもそう思うし、なんでも疑ってかかったら、それは苦しいよ」<br />
相手の全てを信じたいだなんて思ってるわけじゃなくて。<br />
面白いことを信じて生きたいのもある。まともに心に受けるのは筋トレみたいに思えるときもある。<br />
でもそれだけ鍛えらればまたいいよね。良い事だよね。<br />
<br />
『好きな方をやるといいわ。でも信じすぎて馬鹿を見ないようにね』<br />
それももっとも。<br />
機嫌を悪くしたのか、ぷいと向けられた背中は遠くて薄い。両方に二つ結びにしたクセっ毛が踊るんだ。<br />
何を考えているのかはわからない。いわゆるツンデレなのかもしれない。<br />
<br />
<br />
「ところで、それって誰の話なの？」<br />
『こんなのよくある話よ』<br />
<br />
ご機嫌が斜めを向きすぎて倒れてしまったのか、こちらを見もせず消えてしまった。<br />
「ミサキちゃん、後で羊羹あげるから……」<br />
仏壇に添えればいいかな、でも彼女の仏壇ってどこだ。<br />
あの岬にはできればあんまり行きたくないところだし…。<br />
あ、お線香用意した方がいいかな、青雲のバイオレットは煙が少ないし良いよ。うん。<br />
あと、崩れた片方の髪を直してあげたいな、リボンを………<br />
<br />
<br />
<br />
「誰と話してたんですか」<br />
<br />
「うわあああああ！！！」<br />
背後から突然声をかけられて心臓が飛び出そうになった。<br />
穏やかな声、大好きな声、二重の意味で心が踊るのだ。<br />
「せ、……せ…………あの、せ…」<br />
必死に飲み込もうとしているけれど、傍から見たら餌を求める金魚と変わらないかもしれない。<br />
風に撫でられて崩れた頭が恥ずかしい、上にこれだもの。<br />
ああ、なんて事。こんなことならもっと鏡を見ておけばよかったのに！<br />
<br />
「ああ、すみません驚かせてしまって…。そろそろ本鈴が鳴りますが、どうも姿が見えなかったので」<br />
「ほ、本当ですか！先生大好き！アイラブユーアイウォンチュー！」<br />
「授業であまり欠席者を出したくないだけです」<br />
ほら、皆勤賞狙ってるんでしょう。と肩を押されながら階段を下りる。<br />
「先に行って着席してるんですよ」<br />
「はあーい！」<br />
勢いよく駆け出しながら笑みを抑える。こんな些細なことでも幸せです。<br />
「先生、教室でまた会いましょうね！」<br />
「廊下は走らない」<br />
「はーい！」<br />
<br />
<br />
<br />
見えないはず、の視線に当てられながら考えてみる。<br />
地に縛られている…はず、だけどもそれを連れていく程の何かがあの娘にはあるのだろうか。<br />
『まさかねえ…』<br />
<br />
信じる物は救われる。何をかっていうとそれは金銭だとか心だとか。<br />
赤頭巾は疑うことを知らなくて食べられてしまったし、あわれ子羊は末子を残して腹の中へ。<br />
メルヘンの世界でなら救われているけれど、警告忠告教訓を知らない娘は強いわけじゃなくて愚かなだけ。<br />
<br />
目が合った男にはこちらは見えていないはず。なのにこちらの目を射抜く視線は鋭い。<br />
<br />
<br />
「……幽霊、ね…………」<br />
<br />
<br />
『ああ、こわいこわい。<br />
　ね、先生。あたしも貴方のこと嫌いよ』<br />
<br />
だってあたしが寂しいから、なんて口が裂けても言わない。<br />
<br />
<br />
<br />
＊　＊　＊<br />
＊　＊　＊<br />
<br />
<br />
<br />
『ところでキミって友達いないの？』<br />
「い、いるよ！つるんでないだけで…」<br />
『ふーん』<br />
「まことちゃんって言うの。ほらあそこ歩いてる」<br />
『あーあの……校則違反常習者？』<br />
「なんでわかったの！？すごい、やっぱり幽霊はこっくりさんみたいになんでも知ってるんだ！？先生が私のこと好きかどうかも占える！？」<br />
『それはお狐様じゃないと無理ねー』<br />
<br />
おしまい<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div align="right">＊　＊　＊<br />
＊　＊　＊<br />
<br />
<A href="http://wo6.xxxxxxxx.jp/" target="_blank">アキヲ先生</A>に恋するユーザちゃんは霊感少女でミサキチともお話しちゃうよってお話。<br />
男は狼なのよ気をつけなさいー]]>
    </description>
    <category>text-fanfic</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/text-fanfic/%E7%8B%BC%E5%B0%91%E5%A5%B3%E3%81%A8%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%95%20-%20%E3%81%9B%E3%82%93%E3%81%9B%E3%81%84%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%97</link>
    <pubDate>Sat, 30 Mar 2013 10:55:25 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/9</guid>
  </item>
    <item>
    <title>le cadavre exquis / TeaParty</title>
    <description>
    <![CDATA[好奇心で人を殺したことがある。<br />
<br />
ただの好奇心だったのだけれど、警告は聞かないふりをしていたし、その先も見ないふりをした。<br />
<br />
<br />
おさげのよく似合う、黒髪の、私とそう歳の変わらない女の子だったと思う。<br />
よく夢の話をしたし、それ自体も夢だと疑わしいような不思議な娘だった。<br />
別に仲が悪かったわけじゃない。<br />
強いて言うなら好奇心。<br />
好奇心で、私は彼女を殺してしまった。<br />
<br />
その時の臭いは夢とは思えなかったし、腐敗が始まってもいないのにそんな臭いがしたことはよく覚えている。<br />
まだ鼻腔に残ったそれは、吐き気を催すには充分だった。<br />
ただの血と肉の詰め物になってしまったのだから当たり前だ。<br />
かき集めて押し付けてみてもくっつくわけはなかったし、もう二度と動くこともなかった。<br />
そんな、夢。<br />
<br />
……だと、思う。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<font size="4" face="ＭＳ 明朝" color="#B9B6A6">le cadavre exquis</font><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「ぼんやりしているね」<br />
<br />
ふと話かけられて我に帰る。<br />
<br />
「…今日は夢見が悪かったから」<br />
<br />
そんな夢を見たからか、そんな周期だったからか。白いシーツには真っ赤な染みができていた。<br />
自分で洗おうと思ったが、メイドさんがすべてやってくれてしまった。<br />
恥ずかしいから止めて欲しかったのだけれど、言葉が通じないのでどうにもできなかった。<br />
淡々とこなしてくれたのでそれほど羞恥もなかったと言えばなかったが、恥ずかしいものは恥ずかしい。<br />
<br />
でも、いつの間に人が変わっていたのだろう。<br />
以前のメイドさんはもっと愛想が良かったと思ったのだけれども。<br />
<br />
今日の君はいつもより良い匂いがするね、と言われてまた我に帰る。<br />
そんなの紳士に言える訳が無い。<br />
目の前の青年の視線を避けるように、カップへと視線を注ぐ。<br />
「な、なんでだろうね？シャンプーかな」<br />
「君と僕とは同じシャンプーの香りだよ」<br />
異性の特徴とは気づき難いものというのが一般的な気もするけれど、彼は違うのだろうか。<br />
内心かなり焦っている私を尻目に、召使に何かを言っているようだった。<br />
<br />
「うん、じゃあ、とりあえずだけど。<br />
　寝つきが良くなるように、何か別のお茶を淹れさせるからね」<br />
「ありがとう、あの……」<br />
「ラロだよ。ジュリアン・ラロ。<br />
　ジュリアンでも、ラロでも良い。君の好きなほうで呼んでくれれば、僕は嬉しいよ」<br />
「ら、ラロ………ううん、じゅ、ジュリアン」<br />
「うん」<br />
<br />
忘れちゃった？と満足そうに笑う彼はとても優しい。<br />
過保護かと思うほどでもある。<br />
名前の通りの美しさ、藤色の睫毛の下から覗く瞳に全てを射抜かれてしまいそうな、そんな枯色のような。<br />
<br />
「でも、やっぱりぼんやりしてるね。<br />
　どうしたの？僕の話がつまらないとか、お茶が口に合わないとか。<br />
　何でも良いから気になることがあったら言って欲しいんだ。<br />
　僕はもっと君とお喋りしたい」<br />
<br />
とても良い環境で、召使もいて、欲しいものにも困らない。<br />
何でも気づかってくれる彼は紳士だと思うし、誰からも好かれるだろう。<br />
そんな彼から、どうして私は逃げてしまったのだろう。<br />
<br />
「それか……そうだね。まだ思い出せないでいるのは不安だよね。君の話をしようか」<br />
私は一度、ここから出て行ってしまったらしい。<br />
「君はずっとここにいるって言ってくれたのに」<br />
というのも、私はここに来る前の記憶が全く思い出せないでいる。<br />
「でも、やっぱり帰って来てくれた。君も僕を愛していてくれた。それがわかって、僕は、僕たちは、かな。今本当に幸せなんだよ」<br />
<br />
外は病気や悪意で満ちているし、頭のおかしい人が沢山いて、とても危ないところだと聞いた。<br />
体の弱い私は外で死んでしまっているんじゃないか、どこか別のところで悪い人に捕まってたりしないか、……と彼はとても心配してくれたらしい。<br />
こんなに愛されてたのに、私は何が不満だったのだろう。<br />
今忘れてしまっていることも。幸せに背いて天罰が当たったのだろうか。<br />
<br />
「またぼんやりしてる。お菓子でも食べる？」<br />
<br />
出された新しい紅茶とともに、促されたタルトはとても甘くて頬が緩む。<br />
「おいしい！」<br />
「そう？良かった。<br />
　前の君は、あまりおいしそうじゃなく食べるものだから。苦手なのかと思ってたよ。<br />
　……そっか、変わってくれたってことなのかな」<br />
「変わったって？」<br />
「僕と君と、もっと相性が良くなるように」<br />
<br />
色気も無く、パクパクと食べる私へ不釣合いな歯の浮くセリフ。<br />
恥ずかしさと嬉しさでどうにかなりそうだ。<br />
<br />
「ふふ、ここについてるよ」<br />
<br />
頬についた菓子をすくい取った手には包帯が。<br />
滲んだ血はもう乾いているようだった。<br />
「じゅ、ジュリアン」<br />
「どうしたの？……ああ、これかな。大したことないよ」<br />
「大したこと無いって言ってもその、その血……」<br />
<br />
好奇心は猫をも殺す。<br />
私の場合は人をも。<br />
夢とはいえ殺してしまっているのだから、あまり深入りはしない方がいいような気がしたけれども。<br />
どこかでそんなことを考えながら、その衝動に押されてしまっていた。<br />
「君は臆病なところは変わってないんだね。嬉しいな。<br />
　これはね、噛まれちゃっただけ。だから、もう治ってるよ。大丈夫」<br />
<br />
ほら、と包帯を取って見せると、すっかり傷は癒えていた。<br />
<br />
そんな危ない動物なんていたっけ、と思い出してみようとする。<br />
ああ、ああ、やめた方が良いのに。<br />
小鳥はいた。狐狩りはしなさそうで、兎がかじるのは草だ。<br />
いけない、いけない。<br />
気分が悪い。<br />
<br />
「……ちょっと、一人にさせて」<br />
<br />
<br />
<br />
＋＋＋＋＋<br />
<br />
＋＋＋＋＋<br />
<br />
<br />
<br />
彼に連れられて廊下を進み、螺旋階段をゆっくり昇る。<br />
いやでも目に入るのが召使たちだけれど。<br />
「前の人たちはみんないなくなっちゃったのかな…」<br />
随分と様変わりしたようだ。一見すると人払いでもしてしまったのかのようにも見える程。<br />
「うん、だいぶ変わっちゃったかもね」<br />
彼はというと、そんなことなど対して興味が無いようだ。<br />
「前のメイドさんは？何度かお話してくれたんだけど…」<br />
前に私についてくれていた使用人さんは、まだ若いけれど頑張り屋で、言葉の通じない私にも一生懸命意思疎通を図ってくれた人だった。<br />
歳が近かったのもあって親身にしてくれた、数少ない人だったのに。<br />
<br />
「前のあの子はね、君のドレスを着ようとしていたから首にしたよ」<br />
耳を疑うような言葉にさっと彼の顔を、瞳を見る。<br />
紅茶のおかわりと頼むのと同じ調子でひどいことを言ったように聞こえた。<br />
<br />
「君のために仕立てたドレスだったのに、触るからいけない」<br />
「え……、う、うそ、だ、だって、女の子だもの、まだ若かったし、そういうことだって誰だって、」<br />
「君の髪を梳かしていたあのメイドは、君の髪を数本引きちぎったね。だから首にした」<br />
「あ、あれは誰にだってある」<br />
「君の部屋の掃除婦。僕の君の物に勝手に触るから首にした。<br />
　庭師は君と目が合ったね、僕の君と。だから首にした」<br />
「…………」<br />
<br />
段々と言っていることが変になっている気がする、でも、でもこれは…。<br />
「でも、君は誰にでも好かれるから、誰からも守らないといけないんだよ」<br />
そうか、そうだ、愛されているんだ。……そう、思う、のだけれど。<br />
おぞましい思考が脳髄を駆け巡る。<br />
聞いてはいけない。でも、聞かないといけない。<br />
ここにいる以上は。<br />
<br />
<br />
「ねえ、私……なんで、色んなこと、覚えてないのかな」<br />
「何かの物理的なショックを受けたんじゃないかなと僕は思うけど」<br />
「その噛み傷はどうしてついたの？」<br />
「噛まれたんだよ」<br />
「どうして？」<br />
「突き落とされそうになったからじゃないかな」<br />
「それは、誰に」<br />
「それは僕に」<br />
<br />
<br />
傍らの彼を突き放し廊下を駆け上がろうとしたが、腕を掴まれて一気に腕の中へ捕らわれてしまった。<br />
隙間を潰すように強く強く抱しめられる。<br />
<br />
「ふふふ、惜しかったね！もうちょっとで部屋に戻れたよ？<br />
　ここならまた同じやり方になっちゃうじゃないか、でも仕方ないよね？」<br />
<br />
股座の間から流れ落ちる血の匂いにむせる。<br />
あの時もそんな匂いだったか。覚えていない。<br />
あの時？彼を突き落とした時？<br />
私を抱く腕が痛い。耳元の吐息が熱い。<br />
<br />
「腕、痛かったよ。<br />
　……でも面白かったから今回はこれで許してあげる。<br />
　君のあんな顔が見れて本当に良かった。<br />
　また遊ぼうよ、そうしてもっともっと別の、色んな顔を見せて。<br />
　一番良いときの腕と、脚と、そうして頭を揃えてまた僕の物になって。<br />
　大丈夫だよ、ちぐはぐになってもそれは君だから可愛いんだ。愛してるからね」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<center><b><font size="6" face="ＭＳ 明朝" color="#B9B6A6">le cadavre exquis</b></font></center><br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「大丈夫だよ、寂しくないから」<br />
<br />
<br />
<br />
浮遊感と脱力感を感じながら、私の意識は途切れた。<br />
また朝焼けと共に、長針と廻り来る。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div align="right">＊　＊　＊<br />
＊　＊　＊<br />
<br />
<A href="http://wo6.xxxxxxxx.jp/" target="_blank">TeaParty</A>のラロ様とユーザちゃんの、こんな地平もあるかもねっていうお話。<br />
ラロ様には今後ユーザちゃんだけを愛して欲しいですね！<br />
<br />
最初の女の子は<A href="http://seizonkakuninbasyo.web.fc2.com/" target="_blank">夢日記</A>の彼女です。<br />
<br />
無限ループって怖くね？<br />
</div>]]>
    </description>
    <category>text-fanfic</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/text-fanfic/le%20cadavre%20exquis</link>
    <pubDate>Tue, 19 Mar 2013 16:57:53 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/8</guid>
  </item>
    <item>
    <title>涼介さん - hollow,</title>
    <description>
    <![CDATA[<script type="text/javascript" charset="utf-8" src="http://www.webpita.com/blogparts/music/music002/webpita_blogparts_music002.js"></script><script type="text/javascript">webpita_blogparts_music002("http://lirlira.hacca.jp/hollow,.mp3", "default")</script><noscript><a href="http://www.webpita.com/">ブログパーツ</a></noscript>.<br />
<a href="http://lirlira.hacca.jp/hollow,.mp3">&rArr;mp3</a><br />
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－<br />
hollow,<br />
<br />
<br />
〝「こんばんは、お嬢さん」"<br />
<br />
夜霧の流れる街、凍える月の照らした裏通りは暗中迷路。<br />
角辺りに佇む青年が一人、紳士のようだった。<br />
彼の言うことには<br />
<br />
「気をつけて、夜の街の一人歩きはいけない。<br />
　おそろしい殺人鬼が出るそうだから。<br />
　―――ねえお嬢さん、今宵はお一人かな？<br />
　それは危ない！よろしければ僕とご一緒に。<br />
　帰路を歩みましょう。<br />
<br />
　一夜限りの出会いだから、お手をどうぞ」<br />
<br />
<br />
煙霧が立ち籠む街、迷える月の照らした道通りは五里霧中。<br />
手を引く青年は傍を微笑み歩いていた。<br />
ふと、立ち止まった彼の言うことには<br />
<br />
「そういえばこんな夜は、血が騒ぐそうだから&hellip;&hellip;、<br />
　おそろしい殺人鬼が近づくかもしれない。<br />
　―――ああそうだ、お嬢さん気をつけて。<br />
　殺人鬼が好むのは淡い金の髪、碧い瞳。<br />
<br />
　そう&hellip;&hellip;貴女のような」<br />
<br />
<br />
〝薄光差し込む街、時計台の鐘音は遠く遠く。"<br />
<br />
<br />
「ああ、月がこんなに綺麗だから。まるで剣先のようだ」<br />
<br />
そっと繋いだ手を下ろし、囁く―――。<br />
<br />
「どうかお嬢さん、お許しください。<br />
　先ほどの約束ですが、どうにも守れない&hellip;&hellip;」<br />
<br />
切り裂く月明かり、<br />
<br />
「それでは、さようなら」<br />
<br />
<br />
〝―――舞台『hollow,hollow,from hell.』序幕より"<br />
<br />
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－<br />
<div align="right">＊＊＊<br />
＊＊＊<br />
<br />
<a href="https://twitter.com/chatnoir3rd" target="_blank">涼介さん</a>から頂いた、haze,haze,acid flow.のイメージ曲にわたしが歌詞をつけたものです。<br />
ダークで妖しい雰囲気で&hellip;！とお願いしたらこんなに素敵な曲を作ってくださいました。<br />
<br />
一応下の方に振り仮名版も置いておきますね。<br />
<br />
＊＊＊<br />
＊＊＊</div><br />
<br />
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－<br />
hollow,（タイトル）<br />
<br />
<br />
（〝「こんばんは、お嬢さん」"）<br />
<br />
夜霧（よぎり）の流れる街、凍える月の照らした裏通り（うらどおり）は暗中迷路（あんちゅうめいろ）。<br />
角辺り（かどあたり）に佇む（たたずむ）青年（おとこ）が一人、紳士のようだった。<br />
彼の言うことには<br />
<br />
「気をつけて、夜の街の一人歩きはいけない。<br />
　おそろしい殺人鬼（ひとごろし）が出るそうだから。<br />
　―――ねえお嬢さん、今宵はお一人かな？<br />
　それは危ない！よろしければ僕とご一緒に。<br />
　帰路（きろ）を歩みましょう。<br />
<br />
　一夜限りの出会いだから、お手をどうぞ」<br />
<br />
<br />
煙霧（ヘイズ）が立ち籠む（たちこむ）街、迷える月の照らした道通り（みちどおり）は五里霧中。<br />
手を引く青年（おこと）は傍（よこ）を微笑み歩いていた。<br />
ふと、立ち止まった彼の言うことには<br />
<br />
「そういえばこんな夜（よ）は、血が騒ぐそうだから&hellip;&hellip;、<br />
　おそろしい殺人鬼（さつじんき）が近づくかもしれない。<br />
　―――ああそうだ、お嬢さん気をつけて。<br />
　殺人鬼（かれ）が好むのは淡い金（ブロンド）の髪、碧い（ブルーの）瞳（め）。<br />
<br />
　そう&hellip;&hellip;貴女（きみ）のような」<br />
<br />
<br />
（〝薄光差し込む街、時計台の鐘音は遠く遠く。"）<br />
<br />
<br />
「ああ、月がこんなに綺麗だから。まるで剣先（ナイフ）のようだ」<br />
<br />
そっと繋いだ手を下ろし、囁く（ささやく）―――。<br />
<br />
「どうかお嬢さん、お許しください。<br />
　先ほどの約束ですが、どうにも守れない&hellip;&hellip;」<br />
<br />
切り裂く月明かり、<br />
<br />
「それでは、さようなら」<br />
<br />
<br />
（〝―――舞台『hollow,hollow,from hell.』序幕より"）<br />
<br />
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－<br />
※（）で閉じられているところは歌わない。]]>
    </description>
    <category>頂き物</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/%E9%A0%82%E3%81%8D%E7%89%A9/hollow-</link>
    <pubDate>Fri, 15 Feb 2013 17:07:17 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/7</guid>
  </item>
    <item>
    <title>りすなさん - やまなしおちなし</title>
    <description>
    <![CDATA[やまなしおちなしいみなしなあれ<br />
<b>※１８歳以下は見ちゃだめです</B><br />
<br />
－－－－－－－－－－－－<br />
<br />
<br />
<br />
　苦痛は通常、人にとって避けたいもののひとつであろう。<br />
　しかし、レイヴンズクロフトにとってはそれは快楽であった。<br />
　刃が自身に傷をつけ、鮮血が滴るとき、彼は背筋に電気が走るような錯覚を覚えるのだ。<br />
　最近、レイヴンズクロフトは自傷する回数が増えた。<br />
　別に精神を病んでいるわけではない――いや、ある意味病んでいる――が、彼は専ら自分を慰めるために自傷行為を行った。<br />
　今日は二の腕にナイフを突き立てる。紅色の線が腕に引かれ、少し間を置いてからぷっくりと血が溢れてくる。<br />
「はあ……はあ……」<br />
　息遣いが荒くなる。レイヴンズクロフトの男性の部分が膨張していた。手を伸ばした。<br />
　自分の屹立したものをしごき始める。それは、彼の手の中でより大きさを増していった。<br />
　血が流れていく。<br />
　二の腕から指にまで至った血を舐める。<br />
「景……せん……せい……？」<br />
　いつの間に現れたのだろうか。<br />
　景が、レイヴンズクロフトが二の腕を傷つけるために使ったナイフを手に、目の前に立っていた。<br />
　冷たい目で自慰行為をしているレイヴンズクロフトを見下している。<br />
　そして、何も言わずにレイヴンズクロフトの胸に傷をつけた。<br />
　胸の傷から溢れる血。<br />
　景はぴちゃぴちゃとそれを舐め取る。<br />
　景の着ている白衣が、レイヴンズクロフトの血で赤く染まっていくが、彼は気にも留めずに血を舐め続け、そして、その顔が下腹部のほうへと移動する。<br />
　レイヴンズクロフトの欲望の塊を口に含み、下と唇で愛撫する。<br />
「上手じゃ……ないですか……先生っ……！」<br />
　景の動きが激しくなり、レイヴンズクロフトの息の荒々しさが増す。<br />
　抗いがたい快楽と興奮が洪水のようにレイヴンズクロフトの全身を駆け巡り、<br />
「はあっ……あああっ！」<br />
　景の口の中に放たれた。<br />
<br />
　血と雄の臭いが部屋に入り混じっている。<br />
　昨日も、そして今日も、レイヴンズクロフトは妄想の中で景に愛された。<br />
　傷を見るのが嫌いな彼が傷を舐め取ることも、ましてや自分に傷をつけることもないことくらい、レイヴンズクロフトにはわかりきっていた。<br />
　しかし、そのありえないことを想像して楽しむくらいの権利はあるだろうと、彼は黒い羽をいじりながら思ったのだった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<div align="right">＊＊＊<br />
＊＊＊<br />
<br />
だいぶ前に<A href="http://risna.nobody.jp/" target="_blank">りすなさん</A>に頂いていたものです。<br />
りすなさんありがとうございますうううれしすぎる]]>
    </description>
    <category>頂き物</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/%E9%A0%82%E3%81%8D%E7%89%A9/%E3%82%8A%E3%81%99%E3%81%AA%E3%81%95%E3%82%93%20-%20%E3%82%84%E3%81%BE%E3%81%AA%E3%81%97%E3%81%8A%E3%81%A1%E3%81%AA%E3%81%97</link>
    <pubDate>Mon, 20 Jun 2011 12:35:14 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/6</guid>
  </item>
    <item>
    <title>カリスト</title>
    <description>
    <![CDATA[もしものお話<br />
<br />
－－－－－－－－－－－－<br />
<br />
今年も花束が届いた。<br />
私が生まれたときから今までずっと届く花束の届出人は、父の名前。<br />
この白いカーネーションは、母が好きだった花だそうだ。<br />
<br />
<br />
物心ついた頃には、祖父の大きな背中を見て育った。<br />
父はもう亡いんだと、母はもういないのだと教えられた。<br />
星に手を伸ばすのもその血筋だという話。<br />
<br />
「本当かな」<br />
<br />
科学が否定されているこの街で？<br />
<br />
紙上の星座をなぞる指を見ながらぼんやりと思い出す。<br />
科学など化学など、認められてきているといえどまだまだだ。<br />
父は星を研究していたという。<br />
手を伸ばしても届かないものを、どうして目指そうと思ったのか。<br />
まだ私にはわからない。<br />
<br />
考えを振り払うように本を閉じて立ち上がる。<br />
屋根裏のスペースに本棚がぎっちり詰められたこの部屋は、亡父の書斎だった。<br />
床から天井への距離が近く、洞穴のような隠れ家のような……そんな雰囲気のある部屋で、結構気に入っている。<br />
星が覗くように開いている窓からは、今は暖かな日差しが照らしている。<br />
天体のことを綴ったノートを本棚に戻そうとすると、ひらりと紙切れが落ちていった。<br />
<br />
紙切れ…じゃない。封筒だ。<br />
中を見てみると、古いフィルムが入っていた。<br />
<br />
<br />
＊＊＊＊<br />
<br />
<br />
「兄さん、こりゃあ難しいよ」<br />
<br />
写真屋の店主が声を上げる。<br />
見るからに古いフィルムだったから、当たり前だろうとは思った。<br />
「そうですか…現像は無理ですか？」<br />
「ただ、保存状態は結構良いみたいだねえ。時間を貰えればなんとかしてみせよう」<br />
安堵の表情を浮かべたであろう私に、店主はウィンクして見せた。<br />
「大事そうなフィルムだしね」<br />
「あ……ありがとうございます！」<br />
「その間、商店街で時間を潰してくるといい。最近は面白い店も入ってることだろうよ」<br />
そう言うや否や、すぐに奥へと引っ込んでしまった背中を見送る。<br />
<br />
「……あ」<br />
<br />
時間を潰せというが、どれくらいか。<br />
それを聞きそびれてしまったな。<br />
<br />
時計の音がカチコチと心臓に響く。<br />
古いカメラが並んだ棚からは、懐古的な懐かしさを覚えた。<br />
そんな室内とは対照的に、白く染まった屋外に出る。<br />
街には雪が降り始めていた。<br />
ふうふうと、吐く息が白い。<br />
体温を奪われぬように、上着の襟を整えた。<br />
<br />
＊＊＊＊<br />
<br />
ざくざく、と歩を進める。<br />
特に目的は無く、目標地点もないが、気づくと丘へ登っていた。<br />
雪かきなどしているはずも無い道は少し厄介だったが、そんなに大きな坂では無い。<br />
すぐに頂上へと着いた。<br />
<br />
光が目を貫く。<br />
今までの獣道とは全然違う、開けた視界が眩しく感じる。<br />
街を見下ろすことの出来る一番良い場所。<br />
そういやこんなところ、あったっけな。<br />
小さい頃によく来た覚えがある。<br />
悲しいことがあるとよく一人で泣いた。<br />
<br />
「泣き虫だーって、よく馬鹿にされたよな」<br />
<br />
「ええ、小さい頃から泣いてばかりでね」<br />
<br />
はっと横を見ると、自分しかいなかった空間に少女が立っていた。<br />
どこにでもいるような、ありふれた赤毛に、そばかす顔。<br />
<br />
「本当に、あなた。あのひとによく似ているわ」<br />
<br />
微笑んだ紫水晶の瞳は、とてもとても優しかった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
どのくらい時間が経ったのだろうか。<br />
ふと気づくと日が暮れていた。<br />
<br />
墓標に刻まれた名は、よく見知った名。<br />
吐く息が白い。<br />
眼球が、瞳がとても熱い。<br />
ぼろぼろと零れる涙は腕で覆い隠せない程あふれた。<br />
<br />
<br />
星が見ていた。<br />
遠く月を照らすように眩しい、あの二重星。<br />
<br />
<center><font color="#B9B6A6"><br />
☆☆☆☆<br />
<br />
<br />
<font size="5" face="ＭＳ 明朝">カリスト</font><br />
<br />
<br />
☆☆☆☆<br />
</font></center><br />
<br />
<br />
現像が終わった写真を見ると、赤子を抱いた女性が微笑んでいた。<br />
どこにでもいるような、ありふれた赤毛に、そばかす顔。<br />
結局あれは幻だったのか、夢だったのか、それとも全くの別人だろうか。<br />
<br />
「……そんなことも、あるよな」<br />
<br />
後から気づいた話だが、毎年の花束は祖父が贈ってくれていたものだった。<br />
二人を忘れないようにというのは、祖父自身もそう願っていたからではないだろうか。<br />
今年からは、祖父母に赤い華を贈ろうと思う。]]>
    </description>
    <category>text - ghost</category>
    <link>http://cosmiclibrary.blog.shinobi.jp/text%20-%20ghost/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88</link>
    <pubDate>Sun, 13 Feb 2011 13:24:41 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">cosmiclibrary.blog.shinobi.jp://entry/5</guid>
  </item>

    </channel>
</rss>